11月に入ると鮑漁が解禁し、身はカンポ等作り肝が売りに出される。
我々はトシロと呼ぶ。
砂袋をとり、山葵醤油で食べる。(鮮度が良い場合)
生食が嫌いな場合は一晩、塩漬けにする。煮ても美味しい。
三陸の珍味である。
昨日、釜石から届いた入りあわせになんと「キントキダイ」が混ざっていた。
キントキダイはこのブログでも紹介済なのだが、日本近海では南日本の太平洋岸、岩礁やサンゴ礁の周辺を遊泳する底生魚で、水深10m~200m位で生活している。
一般に肉食性で小魚や甲殻類を捕食し、多くは夜行性である。
なのに何故、釜石産なの?
コケがサンドペーパーみたいでコケを取らずに三枚卸にして刺身にする。コケのついた皮を揚げたりすれば(こんがり焼くか)
違う食感を楽しめる。
写真は撮らなかったが今日はヤガラが入った「入り合わせ」が、岩手県・山田産より入荷していた。
三陸は変だね。
もう一枚の写真は「モンコウイカ」千葉県産、岩手魚類入荷。
最近は青森・岩手産のアオリイカばかり見えていてモンコウイカ(コウイカ)は久しぶり。
鮮度抜群でヒレ?の周りの黄色いラインがはっきりしていた。
色の黄色いコウイカ類が身が硬め。でも、刺身は甘み、旨みがある。
天ぷらは最高。
弊社、8月決算。
昨日はできるだけ出費を避け、店の販売商品も少なかった。
今日から新年度。築地から色々な魚が入荷。中に「タカベ」。
東京・小笠原、御蔵島産。
夏の魚。(以前にも紹介済)
スズキ目タカベ科タカベ属。房総半島以南、九州までの太平洋岸の岩礁域に、大群で生息。
主にプランクトンを食べている。
産卵期は伊豆諸島で秋。翌年の春には5cmほどの稚魚が大群で磯の潮溜まりに入ってくる。
成長は遅く1年で10cm、2年で20cm、30cm以上に達するには7年ほどかかると言う。
夏は脂ものり旨い魚である。特に塩焼き、干し魚に最高。
刺身も旨い。
ただ、南の魚なので知名度がなく、「こんな魚がこんなに高いのか?」が盛岡などの魚屋さんの声。
売りづらい魚でもある。
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昨日は「キダイ」今日はチダイ(スズキ目タイ科チダイ属)愛媛県産、盛岡水産入荷。
チダイ(血鯛・ハナダイとも呼ぶ)
琉球列島を除く北海道南部以南から朝鮮半島に分布。
仔稚魚は湾内の藻場、幼魚は沿岸の砂泥底、成魚は岩礁域や大陸棚に生息。
マダイとの違いはエラぶたの後ろが血がにじんだようになっている。もう一点は尾びれにクロっぽい縁がない。
マダイは1mぐらいになるがチダイもキダイと同じように40cmぐらいと小ぶり。
産卵期は秋で旬は夏。
体長10cmぐらいは「春日鯛」として酢締めにする。
旬時期の大型のチダイは刺身が旨い。三枚に卸し熱湯をかけ、霜皮造り。あぶっては美味しくないようだ。
脂はないが飴色で甘みがある。
塩焼きは脂がないのであまり美味しくないと言うが、お祝いの席の「焼き物」、地鎮祭などの神事にも使われる。
やはり酢洗い、もしくは酢締めが一番。洋食では油を使い、カルパッチョやマリネなどが合う。
南日本で「小鯛」はキダイを指すことが多いようだが三陸を含めた東日本はチダイが多い。
以前ブログで紹介したことがあるが「ケムシカジカ」(カサゴ目ケムシカジカ科ケムシカジカ属)
岩手県産、岩手魚類入荷。「活」で入荷した。
いつ見てもユニークな顔である。
ブログで紹介した時に我が家で刺身にした。
身はしっかりして歯ごたえがある。尚且つ、甘み、旨みもある。
姿を想像しなければ非常に美味しい。
一般消費者は見る機会がないかもしれないが、見えたら購入してみてください。
刺身で食べれるかわからなかったら鍋、味噌汁にしてください。高価な魚ではないはずです。
迫力のある顔。たぶん最大級の大きさではないか。2.3kgもある。
今日は天然マダイ(スズキ目タイ科マダイ属)千葉県産、岩手魚類入荷。
北海道以南から南シナ海までの北西太平洋に分布するが、奄美・沖縄諸島には分布しない。
成魚は水深30mから200mの岩礁などの底付近に生息。群れを作らず単独で行動。
肉食性で小魚、甲殻類、頭足類、貝類など小動物を幅広く捕食。
丈夫な顎と歯でエビやカニの硬い殻の噛み砕いてしまう。
稚魚は浅い海の砂底、岩場、海藻場などで生活し、小魚など捕食し、1年で約15cmに成長する。
2年から3年で浅場を離れ深みに移る。10kgを超える大物もいる。
美味しく食べるのならせいぜい2kgぐらいまで。それ以上になれば筋っぽくなる。
料理は刺身、焼き魚、お吸い物、煮付け、鍋、鯛めしと多彩。
刺身は身に歯ごたえのある白身で、臭みや脂肪なども少ない。それでいて甘みがある。美味。
又、鮮度の落ちが遅いのも特徴である。
ただ、最近は淡白な天然物より、油っぽい養殖物が人気となっている。
これは日本人の食生活が、あっさりした食材より油っぽさに旨みを感ずるという変化でもあるようだ。
使用する職人さんも価格が安定している養殖に傾いている。
これは非常に残念なことだ。あの天然の歯ごたえ、甘み、旨みなど全てにおいて天然物がうまいのに。
と、考える私ももう古い人間になってしまったのか?
スペイン蓄養本マグロのオオトロ部分の写真を掲載します。
生唾が出る。マグロも大体が天然物の方が美味しい。
マダラ(真鱈、タラ目タラ科マダラ属)青森県大間産。
以前のブログ「田清水産の魚」では9月5日に紹介した。
北太平洋に広く分布。日本海側では朝鮮半島から北、太平洋側では茨城県以北に生息。
沿岸から大陸棚斜面の底近くで生活している。夏場は水深800m程の深海から、冬場にはやや浅瀬に移動する。
産卵は12月から3月。1尾のメスから産卵数は数十万から数百万と言われ、魚類の中では多い部類。
成長できるのはほんのわずか。1年で20cm程に成長。
成魚は1mを超え、体色は褐色。背中にはまだら模様がある。
下顎には1本のヒゲがあり、背びれが3つ、尻ビレが2つに分かれる。
マダラは日本に分布するタラ類3種の中で最大種である。
食性は肉食、貝類、頭足類、甲殻類、小魚など捕食。
料理としては鮮度が良ければ刺身、淡白な白身で昆布締めが合う。ただ寄生虫がいるので注意。
通常は鍋材。ムニエルやフライなど。私は湯煮にしてポン酢をかけ食べるのが好きである。
そのほかにマダラはオスの白子、メスのタラコ、干した棒ダラ、胃袋を使ったタラチャンジャといろいろ美味しいものがある。
今年はマダラの入荷が少なく高騰している。
一説に寄れば、岩手県と青森県境沖に「なべ漁場」がある。
青森県ははえ縄漁を禁じているが岩手県はその規制がない。
この「なべ漁場」はどちらの県に属するのかで裁判となっている。
その影響で入荷が少ない、と言う人もいる。
どちらにせよ、今の時期マダラが高いのは困る。特に「タラ白子(タラキク)」。
家庭の年越しの料理にも、又、ホテル、料亭の冬の味覚として定番になっている「タラ白子」な高騰しては味わえない。
もし、人為的高騰なら早急に解決を望む。
写真左に顎の下のヒゲが写っている。
血の嫌いな方、ごめんなさい。
頭の後ろを切り血を出すことにより血抜きがされ、身に生臭さ(血臭さ)がなくなる。
これが「活締め」である。ご了承ください。
三陸名産ドンコ。本名エゾイソアイナメ(タラ目チゴダラ科チゴダラ属)岩手魚類入荷、岩手県宮古産。
北海道以南の太平洋に生息。200m近い深海から、浅い港の内側にもいる、不思議な魚である。
似ている魚にチゴダラがいる。
トゴダラは東京湾以南、東シナ海までの水深150mから650mとかなり深い場所で生息している。
目の大きさで見分けると言うがむずかしい。ドンコのほうが小さいと言う。
冒頭「三陸名産ドンコ」と記載したが三陸ではテトラポットの下とかで容易に釣る事ができる。
又、民宿ではドンコを使った料理が出される。
料理としては、鮮度の良いものは「ドンコの肝合え」
肝をつぶし醤油にいれ、白身の身を付け食べる。
ナメロウみたいに肝と身、それに味噌を加えたたく。
酒の友として最高。
他には塩焼き、鍋。簡単なものは味噌汁。
昔、三陸の民宿に宿泊したときは「丸1尾焼き」をサービスしてくれた。
みそ焼きである。最高に美味しかったことが思い出される。
三陸では年中見られるドンコではあるが、寒くなると余計美味しそうに見える。
可愛い顔である。
全身がぬめぬめしているが、鮮度の良い証。
最大で40cmほどになると言うが写真のドンコもかなり良いサイズである。
明日は土曜日。面白い魚にあえればいいなー。